ーきれい・・・・・。ー

初めてで、最後だった。










―序章:2―











「あれー?じゃないですか。おはようございます♪」

その声に反応し、おはようございますの意を込めて、少女は軽く頭を下げた。










「・・・・あたしのせいじゃないだろ。」
「誰もお前のせいなんて言ってないだろう。」
「目がそう言ってるんだよ!!目が!!」

新撰組屯所内の土方の部屋から、なにやら話声が聞こえた。
土方の他に聞こえる声は10代後半ぐらいの少女の声と、それから少年の声。
少女はバラバラに切られ、一本に高く結い上げられた自分の髪を弄びながら何か、土方に報告している様だ。

「・・・・・・もういい。お前は呼んで来い。」
「あ、いってらっしゃいススム〜。」
「お前だお前!!」
「そぉーやってコキ使って!!小姓でも雇ったらどーだ!!」
「いいから行け!!」

土方と少々言い合うと少女は腰をあげ、襖に手をかけた。

「あ、。」

さきほどススムと呼ばれた少年は出て行こうとする少女の名を呼び、引き止める。



「ほんまにお前のせいじゃあらへんで。」



その言葉を彼女がどう受け止めたのかはわからないが、という名の少女は一瞬動きを止め、そして部屋を出て行った。










「あ〜あれですよね、はそういう人ですよねぇ。」

沖田と一人の少女が縁側に腰を降ろし、桜の華を見ながら何やら話し込んでいた。
少女の歳はおそらく10代後半。色素の薄い少しウェーブのかかった髪がとてもよく似合っている。

「あ!そうだ!おいしい京菓子が手に入ったんですよ!一緒に食べません?」

少女は大慌てで首を横に振った。

「えーなんでですかぁーおいしいのにー」

沖田の拗ねるその様子を見て少女はさらに困った顔を浮かべた。
そしてその後に微笑みを浮かべ、そこから立ち上がり、沖田の手を引いた。

「食べてくれるんですね?やったあ!」

少女は相変わらず微笑んだまま、先を行く沖田に黙って付いていく。
それを見て沖田もまたにっこりと微笑んだ。










「あ!!永倉!!ちょうどよかった!!」

いきなり指を指されそこで永倉は制止した。

見てねぇ??どっかの鬼が連れてこいってうるさくてさぁ。」
??さっきまでそこの縁側で総司と話してたヨ??」
「それはさっきだろ。今どこにいるか聞いてんだっつの。」

いやそんなこと言われても、内心そんなことを思いつつ永倉はさきほどの会話を思い出していた。

仲良く話していたと思ったら急に総司がなんか言い出して、が困ってたっけ。
えぇーと何だったかなぁ・・・・。

「・・・・・・・・あ!なんか総司の部屋に行くって。」
「・・・・・・・・・・・・・・あぁ!?」
「・・・・・・!?いや!!別に総司はそういうつもりでを呼んだわけじゃないと思うよ!?」
「問答無用!!に手ぇ出すヤツは許されないからね!!!」

永倉が声をかけようとしたその時にはもう、の姿はなかったという。










「沖田総司イィィイ!!」

いつかのようにものすごい勢いで襖が開き、そこにはが立っていた。

「あ、vv」
「あ、vv じゃねぇぇええぇえ!!!に何しようとしてんだぁあぁあぁぁあああぁ!!!!」
「何怒ってるんですかぁ一緒にお菓子を食べてただけですよー。」

そんな二人のやりとりをおろおろとした様子で見ている少女がいる。
彼女の名前は
土方に言われ、が探していた少女だった。

「やーですねー妬いてるんですかー?」
「てめ・・・!一生言ってろ・・!!」
「あ。、これ前あなたが食べたいって言ってたお菓子ですよ!!やっと手に入ったんです!」
「まじで!?やったー食うー!」

さきほどまで喧嘩をしていたのにもう笑いあっている二人。
そんな彼等を見て、もつられて笑い出した。

いつもの日常。










『私』が守りたいと思うもの。










「仕事だ。今回は少々危険だ。だからこそ、お前と総司に頼む。」

はしっかりとした眼でコクンと頷いた。










「行きますか。」










 、18歳。♀ 新撰組、一番隊伍長。










 
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08年06月16日 修正

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