目が覚めた瞬間、あまりの静けさに思わず辺りを見渡した。ぐるりと視線を一周したところで、特に変わり映えのしない、寮の自室があるだけだ。それでも異様な程静かだった。時計を確認すれば、まだ午前4時。それにしては外が明るいような気がして、紫原はカーテンをそろりとあけてみた。
白だ。
全部白い。地上にあるもの全てが白に覆い尽くされている。それでもまだ足りないのか、空からはしんしんと雪が降り続いていた。一面の白が光を放っていて、まだ夜明け前だというのに明るかった。白と静寂。雪の日は車も電車も音しねーから、気を付けたほうがいーぜ。そうアドバイスをくれた福井を思い出し、なるほどと思った。音が、飲み込まれる。
カーテン一枚開けただけでも、冷気が入り込んできたような気がして、紫原は乱暴にカーテンを閉めると、再び眠りについた。