への旅立ち叶わぬ恋








わかっているつもりだった。彼を好きになっても絶対に叶わないことくらい。

彼に何か他の夢中になっているものがあるとかじゃなくて。

それだったらどんなに嬉しいだろう。

そう、例えば、クディッチに専念してくれるとか。

例えば昼休み、彼の友達と一緒にご飯を食べてくれていたら。

例えば休日のダイアゴン横町で彼と一緒にいるのが友達だったら。

ううん、両親でも先生でもいい。

どうして?

何故?




!」

呼ばれて私は振り返った。振り返るとそこにはジェームズとシリウスとリリーがいて。

「あれ?他の2人はどうしたの?」

私はドキドキと大きくなり始めた鼓動を、どうにかして鎮めようと必死だった。
この鼓動が、彼に会えたことを喜んでいるのならとても良いのだけれど、残念ながらそんなロマンチックなものではなくて、
私は心の中で溜息をついた。

「俺はこれから合流。ジェームズとリリーはこれからデートだけどなー?」

にやにやと茶化すようにシリウスは言う。
それを聞いたジェームズとリリーから見事に拳骨をくらっていた。

ドキドキとまだ、大きくなり続ける鼓動。
私の中で膨れ上がる憎悪。黒い、影。醜い。醜い醜い醜い醜い醜い醜い。

「じゃぁな!」

シリウスはそう行って、庭の方に駆けていった。
残されたのは、3人。

、今度一緒に出かけたりしましょうよ。ね?」

可愛らしい笑みを浮かべてリリーは言う。私はそうだね、とそれだけ言うのが精一杯だった。
行くぞ、とジェームズ。
またね!とにっこり笑いながらリリーは私に手を振った。

「それじゃ。」

そう言ったジェームズの顔は悲しそうで。







何故、彼の隣にいるのは私じゃなくてリリーなのだろう。

たぶんジェームズは私に気持ちに気付いていて。

毎回気を使わせてごめんなさい。

知っていたつもりだった。

つらくなることくらい。

ねぇ、私はリリーが大嫌いよ。

ジェームズの隣にいる彼女が嫌い。

彼女を嫌う私が大嫌い。

でも、

どうすることもできないの。

気付いてしまったんだもの、自分の気持ちに。

どうすれば、

彼に笑いかけられてる彼女を見ても、

彼女を嫌いにならないようにできるのですか。

彼を好きになったことを後悔はしていません。

幸せ、だったもの。

でも、

こんな醜い気持ちが伴うのなら

こんなに醜いもう一人の私が出来上がるくらいなら

恋なんてしなければよかった。











私の、人生最大の過ち。










ねぇ神様、許してくれますか?

END
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
SSS。お題は短かめもありだと思った(短すぎじゃないですか)

08年02月01日 改正

back