数十年ぶりの寒波と積雪により、上信越地方の交通網は連日麻痺していた。最新の技術が詰め込まれ、最優先で運行される新幹線でさえ、多少の遅れが出ている。新幹線に多くの人が駆り出されているのか、在来線はどうしても手薄になり、雪の抱き込みによる長時間停車など、かなりの影響が出ている。 ようやく悪天候が過ぎ去り、ひと段落つけた時は、疲労困憊でとても正常な状態とは言い難かった。最低限の思考と理性しか残っておらず、猛烈な眠気に襲われながら、北陸新幹線は高崎駅にたどり着く。何故高崎を選んだのかというと、落ち着いたとはいえ雪の残る北陸や長野を一刻でも早く離れたかったのと、疲労困憊の今の状態で東京という人混みに耐えられる気がしなかったからである。 執務室に足を運ぶと、恐らくは同じような思考回路だったのだろう、上越新幹線の姿もあった。会えば出てくる彼のアイデンティティとも言える嫌味もさすがに鳴りを潜めている。 「…お疲れ様。僕は一足お先に仮眠を取れたから、休養室使っていいよ。右側ね」 「先輩もお疲れ様です。すみません、お言葉に甘えます…」 ジャケットをハンガーに無造作にかけ、Yシャツのボタンを緩めながら御礼を言う。執務室内で、しかも一応は先輩である上越新幹線の前だったが、今日くらいは許されるだろう。上越新幹線も何も言わなかった。そもそも、彼はまともに制服を着ていることがないので、とやかく言われる筋合いは元からないが。 奥にある休養室は夜勤の社員が使うもので、二段ベッドが置いてある。真昼間のこの時間帯は、通常であれば利用者などいない。そのため、北陸新幹線は完全に油断しきっていた。ほぼYシャツのボタンも外し、完全に寛いだ形で部屋の扉を開けた先に、他人がいようとは思いもしなったのである。とにかく眠りたい一心で扉を開け、ベッドの下段へ倒れ込もうとした矢先、先客がいることに気づいて押しつぶさずに済んだことは、誰かに褒めてほしいくらいだった。 「…っ、」 ぎし、とベッドのスプリングが大きく軋む。何とか枕の横に左手をつき、先客の上に倒れ込むことは避けた。ほぼ覆いかぶさるような形で、変な体勢で体重を支えている腕が痛みを訴えてくるのをやり過ごす。新潟や長野の方では臨時に泊まった駅員も多かったと聞くが、高崎はそれほどではなかったと聞いている。何で寝ているんだ、と悪態をつきつつも、そういえば上越新幹線がわざわざ右側と指定していた意味を理解した。自分が左右のどちらの部屋へ入ったのか定かではないが、こうして人が眠っているということは、左側に入ってしまったのだろう。先客がいるならそれを教えてほしかったと思いつつも、右側を使うようにと一言添えてくれた上越新幹線に非はない。北陸新幹線は、左肘を伸ばして少しだけ起き上がり、自分が覆いかぶさった人物の顔を認識する。疲労のせいか、人形のように色が抜けてはいるものの、よく見慣れた顔が目の前にあった。 両の目が、真っすぐに北陸新幹線を射抜いている。 北陸新幹線は、思わず息を飲んだ。 咄嗟の弁解など出てくるわけもない。 衝突こそ避けたものの、結構な勢いでベッドを揺らしてしまったのだ。悲鳴も文句も上げなかったが、起こしてしまったのだろう。意識はまだあまり覚醒していないのか、どこかぼんやりとした表情で、信越本線は自分に被さる男を見上げている。突然の出来事に思考が追いついていないのか、それともただ単に億劫なのかはわからないが、彼は何も言わなかった。北陸新幹線も、元から疲労による思考力の低下があり、謝罪をすべきなのか言い訳をすべきなのかも判断できず、微かに唇を震わせるものの、言葉は何も出てこない。窮屈な制服を脱ぎ捨てて眠りたい一心でボタンが外されているYシャツを心底恨む。これではどう勘違いをされても仕方がない。 そんな北陸新幹線をどう思ったのかは定かではないが、恐らく考えるのが面倒にでもなったのだろう。信越本線は何も語らないまま、ゆっくりと上体を僅かに起こし、スペースを空けるように壁際に身体を寄せた。北陸新幹線の左腕が邪魔をしていて、頭はその腕にすり寄るように枕から外れ落ちる。急に感じた人の温もりに、北陸新幹線は身体を強張らせるが、そんな彼の様子にはまるで頓着せず、信越本線はあろうことかそのまま瞼を閉じた。眠るつもりらしい。 二段ベッドなのだから、視界の端に写る鉄製の梯子を上れば広々とした空間で眠ることができる。けれども、北陸新幹線の思考は、そんなことを考えられるほど正常に働いてはいなかった。 連日の氷点下で身体は冷え切っている。睡眠不足で今にも意識は遠のきそうだ。 信越本線が、目の前で眠ろうとしている。 僅かな理性で考えられたのはそこまでだった。あとは己の欲望のままに狭いベッドへ潜り込む。睡眠欲さえ満たされれば他はどうでも良かった。この人の横で眠れる。北陸新幹線はその幸福感でいっぱいだった。 信越本線の瞼が微かに上がる。顔色はあまり良くない。今年の寒波で旅客対応という意味で大きな被害が出たのは、信越本線だった。彼も疲労には勝てなかったのだろう。高崎に来たのは、きっと北陸新幹線と同じ理由に違いない。 全部が偶然で、望んだ結果ではない。その事実が、無意識のうちに安心させている。そうでなければ、こんな状況になるはずもない。そう理解しつつも、北陸新幹線が本能のままに信越本線の頬へ手を伸ばす。 一瞬、触れる、けれど信越本線の手が、北陸新幹線の手首を掴み、それ以上は続かない。 「…アンタ、俺が欲しいんですか」 ほとんど吐息のような声だった。はい、とも、いいえ、とも言えず、北陸新幹線は口を真一文字に引き結ぶ。何か答えなければと思うのだが、もう眠気には勝てない。ただ、その眠気さえも押しのけて、触れたい、と思ったのは事実だった。 この人に幸せになってほしいとは思うけれど、欲しいのかと言われるとわからない。要らないのかと言われれば、すぐさま否定できる。わからない、という意味で北陸新幹線は頭を振った。たぶん、信越本線には、欲しいわけではない、という意味に伝わっただろうが、訂正する気力はない。 「…似ていたって人と同じではないから、人と同じことをする必要なんて、ないんですよ」 気の迷いだ、とでも言いたいのだろうか。信越本線の言葉の真意は、溶けかけている思考回路では読み取れなかった。 「じゃあ、…どうして、人型なんでしょうか」 乾いた唇で北陸新幹線が問いかけるが、信越本線の呼吸は既に寝息に変わっていた。信越本線から発した問いに対する北陸新幹線の答えに満足したのか、能面のように白いがどこか安心したような寝顔だ。眠ってしまった信越本線に触れることは出来るが、何故かもうそんな気は起きなくて、北陸新幹線もあっという間に意識を手放した。 どうして自分たちは人型をしているのだろう、という疑問を持ったのは、北陸新幹線がまだ長野新幹線だった頃のことだ。 その時長野新幹線は、東京と違って骨の芯まで凍るような冷え込みが続く上越市まで、建設中の北陸新幹線設備の見学に来ていた。長野駅から信越本線に乗り継いだことは覚えているが、何という駅で降りたのかはもう覚えていない。仮に短時間でもしっかり防寒をすること。帰ったら手洗いうがいをすること。等々。信越本線に何度も言い聞かされていたはずなのに、真冬だろうと建設されていく自分の未来の設備が待ち遠しくて、きっと浮かれていたのだろう。3日と経たないうちにだるさと悪寒が長野新幹線の小さな身体を襲った。異変に気付いた信越本線に連れられてやってきた病院で下された診断はインフルエンザ。温かくしてとにかく寝てください、と医師から言われ、自分の行動を顧みて後悔するが、もう遅い。あの時手は洗わなかったかもしれない。あの時マフラーはし忘れていたような気がする。泣きそうになる長野新幹線に、信越本線は一度だけ、だから言ったでしょう、と非難したけれど、すぐに子供をあやすように、大丈夫大丈夫、と頭を撫でた。 長野駅の宿舎に戻った後、看病します!と何故か嬉しそうに布団へ潜り込んでこようとした信越本線を鮮やかな手つきで部屋から連れ出したのは中央本線だった。その年の新潟も連日大雪で、路線たちは各々の対応に追われていた。長野新幹線を案内していた信越本線も、本来であればこんなところで油を売っている暇などないはずで、長野新幹線も案内は必要ないと断ったのだが、他ならぬ長野上官のためですから!と当然のような顔をして長野駅で待ち受けていた。断ったにも関わらず案内役を買って出たからには、信越本線内の雪害の影響はそれほどではなかったのだろう、と思ったが、どうやらそういうわけでもなかったらしい。信越本線を連れ帰りにわざわざ中央本線が松本から出向く程度には人手が足りないということだ。おつらいところ申し訳ありませんがこいつは業務に戻します、と告げた中央本線も疲労が滲んだ表情をしていた。身近な存在が側にいることは、例え可笑しな性癖の信越本線であろうとも、長野新幹線にとっては心強かったのだが、さすがに引き留めることはできなかった。 しん、と静まり返る部屋は、妙に現実感がなく、恐ろしい。長野新幹線は布団を頭まで被せると、火照る身体をぎゅうと小さく丸め込み、時間をやり過ごすことにした。 そうすることでいつの間にか眠っていた長野新幹線がふと目を覚ましたのは、誰かが優しく額に触れる気配を感じたからだった。ひんやりと冷たい手が心地良い。うっすらと目を覚ますと、長野ではあまり見かけない顔がいた。 「すみません、起こしましたか?もうひと眠りしてください。あ、でも一応、水分は取ってくださいね」 「…仕事は…、どうしてここに」 長野新幹線は汗ばんだ身体を起こし、差し出された温かい湯気の立つマグカップをそっと受け取る。 「信越が、長野上官のピンチだ!ってすっげー顔しながら言ってくるもんで、何事かと思ってやってきたんです。新潟県内は寒波の影響で列車の運行に支障が出ていますから、自分はいけない、って嘆いてましたよ。俺はそんなに影響を受けてるわけでもないんで、長野新幹線でやってきました。いやあ、上越上官もそうですけど、やっぱり新幹線はすごいですねえ。高崎からあっという間だ」 そこにいたのは高崎線だった。長野新幹線の部下でもあるのだが、どちらかと言えば上越新幹線の部下という印象が強く、上野から高崎まで並走しているというのに話す機会はそれほどなかった。ありがとうございます、とひとまず御礼を述べると、彼はいいえと静かに言った。普段、宇都宮線や上越新幹線に揶揄われて反論している姿とはまるで違う。こういう顔もするのか、と不思議な気持ちだった。 マグカップに注がれた温かいポカリスエットを飲み干すと、長野新幹線は再び布団に潜り込む。身体のだるさは大分引いているが、まだ熱が籠っている。体温計は、見たことがない数字をたたき出していて、思わず高崎線の制服の袖を掴んだ。 「大丈夫ですよ。汗もかいてますし、今はしんどいでしょうけど、水分とってあったかくして汗かけば熱はそのうち下がります。人間の身体はそういう風に出来ているんです」 「…にんげん」 「そうですよ、こんなところまで人間と同じにしてくれなくていいのに、って思いますよねー」 確かに、どうしてこんなにつらい思いをしなければならないのだろう、と長野新幹線は悲鳴を上げる身体に対して思う。別に風邪を引く機能など、路線の自分たちにはいらないはずなのに。なぜ人型なのだ、とこの時初めて疑問に思った。よほど変な顔でもしていたのか、高崎線がそんなに心配しなくても治りますよ、と笑いながら、また長野新幹線の熱を帯びた額にそっと手をあてがう。彼の大きな手で視界も遮られ、長野新幹線はゆっくりと瞼を閉じた。 「何のために、人と同じなのでしょうか」 遠のいていく意識の中で、長野新幹線はそう問うた。 「…随分昔に、おんなじこと言ったやつがいますよ。そいつは、どんなに似ていたって、俺たちは人間とは同じじゃないし同じである必要なんてないのに、って言ってましたけど。俺は頭もよくないし、その問いに正確には答えられないですけど、どうせ人と同じ形をしているのなら、器官も感情も同じで良かったって思ってます。…きっと、そのうち、長野上官なりの答えが出ると思いますよ」 難しいことは考えないで、とにかく今は休んでください。高崎線は最後にそう締めくくり、あとは一定のリズムで布団の上を優しく叩いていく。まだ熱が残る人型をした長野新幹線の身体は、あっという間に意識を眠りに引きずり込んでいった。 そろそろ起きて準備しないと東京行き間に合わないですよ、そんな声と共に身体をぐらぐらと揺すられて、北陸新幹線は目を覚ました。慌てて起き上がると、視界にはオレンジが飛び込んでくる。高崎線だった。夢の続きを見ているようで、現実感がない。 「明日東京なんですよね?俺が高崎に来たと同時に上越上官と信越が出ていったんですけど、その時に起こしておいてと言われまして」 確かに明日は東京で会議であるが、それよりも信越と言う単語に反応して、一気に意識が覚醒する。ベッドを見下ろすも、当然そこに信越本線はいない。高崎線が入れ違いになったと言っているのだから当たり前なのだが、そこまで思考が回らず、咄嗟に確認してしまった。見られてはいない、という安堵感と、さっさと起きて帰ってしまった彼に対しての何とも言えない感情がないまぜになる。 「これ、制服です。まだあと30分ありますから、ゆっくり支度整えてください。連日の雪の対応お疲れ様でした。何かやることあれば、言ってくださ、」 「宇都宮のことだと思っていたんです」 高崎線の言葉を遮るように言ったのは、今日の出来事が夢なのか現実なのか、わからなくなってしまいそうだったからだ。はあ?と高崎線からは無遠慮な返事が返ってくる。数年前、と北陸新幹線はベッドに腰を下ろしたまま、高崎線を見上げて続ける。 「長野まで看病に来てくれたことがあったじゃないですか。あの時、どうして人と同じなのかと聞いた私に、高崎が誰かの話をしてくれたでしょう?どんなに似ていたって、人とは同じじゃないし同じである必要はないって言った人がいるって。あれ、宇都宮のことだとずっと思っていたんです」 あまり直接の接点がないとはいえ、東北新幹線の元にやってくる宇都宮線のことを見れば、そういうことくらい言いそうだと思ったのだった。けれど、まったく同じことを今日信越本線の口から聞いた。 「信越だったんですね」 北陸新幹線が確かめるように言うと、高崎線は頷いた。 「どうして、そんな風に言ったんだろ…」 高崎線へ問いかけたのはなく、独り言のように呟く。 信越本線は部下である。高崎線も部下である。兄である北陸本線だって部下である。それ以下でもそれ以上でもない間柄で、普段は皆同じように接している。もちろん元々北陸新幹線の区間を並行するように走っていた信越本線や北陸本線、列記とした高崎までの並行在来線である高崎線は、何かと業務上付き合いが多く、その他の部下よりは親しくもなるが、それは当然と言えば当然のことだ。 そう思っているのに、一瞬、本当にふとした瞬間に、せき止めていたかのように違う感情が巡る時があって、北陸新幹線はそれを上手く扱えずにいる。気を抜いた一瞬で、それはやってくる。今日もまた然り。北陸本線に対する感情とは似ているようで違う、信越本線に向けた感情。 恋だろ、と言ったのは兄だった。違うと言っても、北陸新幹線にはそもそも恋情がどんなものなのか、正確にはわかっていない。だから、人がそれを恋と呼んでいるのならば、恋なのかもしれなかった。最近は、諦めにも似た気持ちで、そんな風に思うようになっていた。 けれど、人とは同じではないし同じことをする必要はない、と彼は言った。それならば、このやりきれない感情を何と呼べばいいのだろう。確かに全身全霊で彼を欲しているわけでもないし、どうにかなりたいわけではないと思っていたけれど、幸せは願っているし、本能のような根っこの部分で触れたいと思った、そういう劣情なのかわからないどうしようもない衝動に似た何かがあるのも事実だった。ただ、通常は奥底に潜んでいるし、それを無理矢理抑えている自覚もない。 人はこの感情に、恋ではないなら何と名前をつけるだろうか。 あの、と控えめに高崎線に声をかけられ、北陸新幹線は我に返った。強張っていた表情筋を出来るだけ緩めて彼の方へ向く。 「信越はそう言ってましたけど、別に北陸上官がその考えをのむ必要はないですから」 「…そうですね、ありがとうございます」 慰めにもならない高崎線の助言に、上辺だけの笑顔で感謝する。高崎線にもそれはわかったのだろう。思ってませんね、とため息を吐かれた。 「違うんですよ、あいつは頑固だし、ああいう考え方の奴はそう思い込むことで逃げ道を作ってるようなところがあるから」 「逃げ道?」 「そうです。さっき、上官は宇都宮だと思ってた、って言いましたけど、それも間違いじゃないです。あの時思い浮かべてたのは信越でしたけど、宇都宮も同じようなことを言ってたんですよ、昔。人の真似事なんてして何になるの、って」 当時を思い出しているのか、困ったやつです、と言いながら高崎線はしきりに頷いている。 「でもね、そういう奴に有効な手段がひとつだけあります。屁理屈野郎には言葉で言ったって意味はないから、行動で示せば良いんですよ。ほら、こうやって考えた方がずっと幸せだ、って。上官は馬鹿じゃないから、俺みたいに考えなし装うのは無理かもだけど、一個ずつ示していけばそのうちわかってくれますよ」 「…考えなしを?装う?高崎が?」 「そこじゃないですから反応するとこ!どうせ馬鹿ですけど!北陸上官、上越上官に感化されてないですか最近!」 元気出ましたありがとうございます、北陸新幹線が笑いながら言えば、「思ってたのとなんか違う立ち直りですけどまあとりあえず良かったです」と、高崎線は口を尖らせた。 部屋を出ていく高崎線の背中を見送る。彼が置いていった制服に袖を通しながら、夢の中で言っていた「どうせ人と同じ形をしているのなら、器官も感情も同じで良かった」という高崎線の言葉を思い出す。確かに、どうせ同じなのだから、人間の知識と言葉を借りて物事を捉えていけば、それほど楽なことはない。対処法なら、人間がたくさん編み出している。 人間よりも随分と長い年月を生きてきた在来線たちの中には、いちいち遠回りに物事を考える輩がいる、と思った。路線の化身としては随分と先輩にあたるため、ついつい彼らの言葉や考え方に寄っていきそうになるが、わざわざ苦しい方を選ぶ必要はないのだ。 欲しい、というにはまだ踏ん切りがつかないが、それならば真似事をしてみませんか、と提案くらいは出来るかもしれない、と北陸新幹線は少しだけ晴れやかな気持ちになれた。 感情につける名前なんて、後からいくらでも変更すればいいのだ。 |
それは恋だよと誰か教えてあげてほしい。いや、執着だけど。 |